断罪アリス
≪アリス side≫


その夜。



私は藤邦の本邸に依良と寿永の跡取りである周を呼び出していた。




「で、昼間のアレは何?」



依良は不機嫌そうに胡座をかきながら、膝に片肘をついている。



「まあまあ、依良。お酒でも飲んで落ち着け」




そんな依良に周がお酒の入った徳利を向けるけど、彼は「いらない」と一蹴する。




「……彼、小鳥遊天河が切碕に狙われてるから守るだけだよ。奴に渡れば、彼は殺人鬼に落とされるからね」




おつまみである煮魚の骨を取りながら依良の問いに答える。




「──それだけ?」



依良の言葉に、箸が止まった。





「……どういう意味?」




「小鳥遊天河が切碕の仲間になるを防ぐためだけに何故玖下だけでなく、周の下についてる羽取や佐滝まで護衛に回す?それじゃ、まるで──」




「……彼を殺すために摂紀達を傍に置いてるって?」




言おうとしたことを私に言われた依良は眉をピクリと動かす。



本当に察しが良いよ、依良は……。




お酒の入った猪口に手をかけようとしたら、周に手を掴まれてそれを阻まれる。


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