断罪アリス
「酔われたら、話が聞けないからな。話すまでお預けだ」
猪口と徳利を没収された私は立ち上がると、庭に面した廊下に出た。
空には月が出ていて庭の池にその影を落とし、水面でゆらゆらと揺れている。
「アリス、お前の目的は彼と切碕の命か?」
周の問い詰めるような口調に、不思議と口角が上がった。
……察しが良いのは依良だけじゃなかったみたいだね。
「当たり。私は切碕と彼の命をこの世から消したい」
「何故……」
「≪彼≫の仇だからだよ」
背後で依良と周が動揺しているを感じた。
≪彼≫が死んだのはもう六年も前。
≪彼≫は何も悪くなかったはずなのに、殺されてしまった。
あの紅い瞳を持つ殺人鬼に……。