断罪アリス
「俺は宅配業者じゃねぇ、黛だ」
宅配業者の変装を解いたそいつは自らを黛と名乗った。
「黛……。惨殺した死体の身体に己の名前を残す猟奇的な殺し屋だって、裏社会では有名だよね」
すると、リビングから今までダウンしていたアリスさんが出て来て、黛という男を睨み付けていた。
「お、美人!コイツか、切碕サンが言ってた≪アリスちゃん≫って」
「…………………」
「ガン無視サイコー!あぁ、メチャクチャ殺してその綺麗な身体に名前刻みてぇ!」
「……変態が」
黛のアリスさんは顔をひきつらせいた。
そんなアリスさんと黛の視界を遮るように羽取さんが立ち、臨戦態勢を取ったかと思うと一瞬にして黛の目の前に迫った。
そして、苦無を頭に向けて振り下ろす。
が、それは眉をかすっただけだった。
「眉毛、無くなっちまったな。黛(自分)で描いたら良いんじゃねぇか?てめぇ、黛って名前なんだろ?」
挑発的な彼の言葉に、黛の額にはくっきりと青筋が浮かぶ。
「……殺す」
周りの空気が変わった。
ピリピリと肌を刺すような空気、それが殺気だと理解するのに時間はかからなかった。