断罪アリス
その後、アリスさんは
「包丁初めて握ったわりに皮剥くの上手くない?」
等とどや顔で生姜の皮を見せてきたけど……。
うん、絶対握らせない。
てか、初めてとかどんだけ箱入り娘?
更なる決意を俺にさせることとなる。
でも、彼女のお陰で疲れて重かった身体が軽くなった。
頭痛も和らいだし、アリスさんは不思議な人だ。
その存在や行動、言葉だけで俺を楽にさせてくれる。
一緒にいて、不思議と心地よくなる。
こんな気持ちになったのは久し振りだ。
俺は心からアリスさんを信頼しているのだと改めて感じた。
でも、これを信頼ではなく、恋というならあまりにも残酷だった。
彼女が俺を好きなることはないし、なったとしても俺に彼女は幸せにはできないから──。