断罪アリス
「あれ?言わなかったっけ」
「何も聞いてません」
「なら、今言うね。はい、これ」
アリスさんは何事もなかったように、一通の封筒を俺に差し出した。
あっけからんとしたアリスさんの態度にイラッと来たが、差し出される封筒を受け取って中身を見た。
「は?何で蓬條のパーティーに俺が呼ばれるんですか?」
「正しくは私が呼ばれて、私が君の護衛に忙しいって言ったら君も招待するって依良が」
そう、その封筒は蓬條のパーティーの招待状だったのだ。
しかも、ただのパーティーじゃない。
蓬條の跡取りである理事長の婚約パーティーと来た。
いやいや、待て。
蓬條のパーティーなんて、一般庶民の俺が参加して良いモノじゃないだろ。
絶対アウェイな感じになるって!
「アリスさん。申し訳ないのですが、俺は──」
「あ、依良から伝言。『単位が危ないようだけど、うちのパーティーに出るなら工面するよ』だって」
……理事長、此処で理事長の特権使っちゃうのか?
確かに俺は大学を休みがちになっているから単位がヤバイけど、それはさすがにな……。