断罪アリス


すると、車が動いていると言うのにいきなり目の前にアリスさんの顔が現れた。




「な……っ!?」




「ネクタイ曲がってるよ。あと……」




アリスさんは俺のネクタイを直してくれたかと思うと、今度は羽取さんが俺の目の前に来た。




羽取さんは何かを手のひらで伸ばすと、俺の髪を弄り始めた。




それはワックスだったようで、たまに俺が使うワックスと同じ匂いがした。





「これでよし。せっかく、アリスが仕立ててくれたオーダーメイドスーツなんだから着こなせよ」




オーダーメイド!?



もしかして、アリスさんは最初からこのスーツを仕立てて、昨日の試着はぴったりか見るための……。




アリスさんに視線を向けると、彼女は満足そうに笑みを浮かべていた。




黒の生地に豪華絢爛な花の模様が描かれた着物を纏うアリスさん。




恐らく、その着物は京友禅だろう。




ボブカットの髪はしっかり結い上げられ、控えめの髪飾りが付けられている。




正直、これほど着物が似合う人を見たことがない。



それほど、アリスさんの着物姿は綺麗だった。





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