断罪アリス


「あー、窮屈ー。脱ぎたいー」




「藤邦は着物が正装なんだろ?ワガママ言うな」




ブー垂れるアリスさんに風間さんが呆れたような眼差しを送った。




「日本の文化に準ずるのが藤邦の家風らしいけど、だったら私の名前を何で≪アリス≫なんて洋風な名前にするかな」




「それは三月様が不思議の国のアリスが好きだからだろ」




「単純だよね、お母さんも。まあ、本人も三月生まれだから三月らしいけど」




アリスさんは鼻で笑うと、窓の外を見た。




アリスさんの母親ということは藤邦の当主か。



表舞台にはあまり顔を出さない人だから俺もボヤーとしか顔が分からない。




でも、まあ、あれだ。




アリスさんの親ということは容姿端麗だろうし、自由奔放な性格だろうな。




そんなことを思いながら、俺はパーティー会場である蓬條の本邸へ向かうの車中を過ごしていた。





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