断罪アリス
何か収集がつかなくなりそうなんだけど。
誰か止めないのかと見渡した。
が、篠原さんは後から現れた玖下さんと共に風間さんと話しているし、羽取さんと一飛さんは理事長の双子の弟さんと話をしている。
誰も止めるような人はいなかった。
すると、俺の方に向かってアリスさんが走ってくる。
「コトリ君、ヘルプ!」
何事かと思っている間に、アリスさんは俺の影に隠れた。
「小鳥遊君、そこを退きなさい」
「退いちゃ駄目だよ、コトリ君!」
アリスさんは俺の上着をぎゅっと掴んで離さない。
普通であれば嬉しい状況だろうけど、状況が状況なだけに嬉しくない。
何せ、俺は理事長に睨まれ、冷や汗が出ている。
例えるなら蛇に睨まれた蛙状態だ。
「小鳥遊君、単位は欲しくないのか?君はお父さんのような刑事になりたいんだろう?なら、留年なんてしたくないだろう?」
そりゃあ、単位は欲しいし、留年なんてしなくない。
「職権乱用だ!コトリ君、単位なんてうちの地からでどうにでもしてあげるから退けないで!」
まあ、後の言葉はあれだけど、職権乱用というのには同感だ。