断罪アリス
item.5 A loved one
翌日。
「ねぇ、莉瑚」
チャーハンが入ったフライパンを振りながら、リビングのソファーに寝転がっている莉瑚に声をかける。
莉瑚は何?と言うように、首だけ俺の方を向けてきた。
「……何で、俺がお前ん家でご飯作ってんの?」
そう、俺は今自宅ではなく、莉瑚の家でご飯を作っている。
つい10分位前に莉瑚から「死にそう……」という電話を貰って急いで来てみれば、お腹の減りすぎて死にそうだったらしい。
莉瑚はアリスさんと同じで料理が壊滅的だ。
いつもはおばさんが作りおきして行くらしいんだけど、今回はその作りおきが無くなるほどおばさんは多忙らしい。
まあ、父さんとなず姉と一緒に切碕の捜査をしているから忙しいのも無理もない。
でも、二十歳にもなって親の作る飯に頼りきりなのはどうかと思うが……。
俺はチャーハンを皿に盛り付けると、麦茶と一緒に莉瑚のいるソファーの前のテーブルに置いた。
「冷蔵庫にキムチとひき肉しかなかったからキムチチャーハンにした」
「わーい、ありがとう♪」
莉瑚はソファーから飛び起きると、キムチチャーハンを食べ始める。