断罪アリス
「それ、食べ終わったら買い物行くよ。疲れて帰ってくるおばさんに申し訳ないから俺が作りおき作るから」
冷蔵庫と冷凍庫を念のため確かめて、買うものを決めなくてはならない。
電話の傍のメモ用紙を取って、メモをしていると──。
「わお、コトリ君ってば主婦みたい」
「!?」
いきなり、耳に息を吹きかけられた。
「ア、アリスさん!」
耳を押さえながら抗議すると、神出鬼没のアリスさんは楽しそうに笑った。
「あっははは、顔真っ赤!猿みたい!」
~~~この人は……っ。
怒るのも疲れたから深くため息だけ吐いて、メモ用紙に買い物リストを作っていく。
「あ、コトリ君。朱鷺から伝言なんだけど」
「……何ですか?」
「今日は朱鷺が夕飯作るって」
あー、夕飯は風間さんが作ってくれるのかー。
「何作るんですかね?」
「朱鷺のことだから夏だし、カレーじゃない?ほら、トマトたっぷりのキーマカレー。一応、電話して聞いてみる?」
「あ、お願いします」
アリスさんが風間さんに電話している間に、俺は買い物リストの中にトマトを一応書き加える。