断罪アリス
「あ、小鳥遊天河さんですか?殺された朝比奈琴梨さんの元カレなんですよね!?」
「犯人に何か言うことは!?」
斎場を出れば、やはり報道陣に囲まれた。
何で俺が小鳥遊天河だって分かるんだよ?
何処から漏れるから分からない個人情報に驚きながらも、俺は向けられるマイクを無視して歩き出す。
「小鳥遊さん、何か一言!」
しつこく迫ってくる報道陣に苛立ちを覚えていると、俺の脇を一人の女の人が通りすぎた。
それがアリスさんだと気づいた瞬間、目の前でテレビカメラが地面に叩き付けられた。
部品が飛び散り、明らかに壊れたと思えるそれを見たカメラマンは怒鳴り声を上げた。
「アンタ、何してくれてんだよ!これ、幾らすると──」
そんなカメラマンにアリスさんは無表情のまま、何も書かれていない小切手を突き出す。
「此処に金額を書いて、藤邦宛てに送ると良い。弁償するよ」
謝罪とは取れないその態度にカメラマンは一度ムッとするが、藤邦の名が出ると顔を青ざめた。
そんなカメラマンをよそに、アリスさんは他の報道陣の方を見た。