断罪アリス
「……俺と琴梨さん、名前が似てるって単純な理由で意気投合したんです」
突然、そんなことを俺が話し出したものだからアリスさんは驚いたように目をぱちくりさせる。
でも、すぐにさっきと同じようにまっすぐな目で「それで?」と言うように見てきた。
「小鳥遊は小鳥が遊ぶって書くし、琴梨さんはことりって名前だったし」
「うん」
「それに琴梨さん、素で俺の名前読み間違えたんです。≪ことりあそび てんが≫って……」
「……凄いね、彼女」
アリスさんは少し顔をひきつらせて、笑うのを堪えているようだった。
確かに俺の名前は読みづらいけど、さすがにそんな読み方されたのはその時が初めてだった。
「でも、その読み間違いがなかったら付き合ってなかったんですけどね……」
同じ委員会に入って、隣の席にたまたまなって、名前を読み間違えなければ琴梨さんと付き合うなんてなかった。
「琴梨さん、落ち着いて穏やかな優しい人なんですけど、少し天然で……」
天然なのは名前の読み間違いの時点で分かるだろうけど、付き合っていたらその天然さが浮き彫りになった。
例を上げれば、きりがないから上げないけど凄い天然だった。
まあ、それが琴梨さんの魅力だったんだろうけど……。