断罪アリス
「あの頃の俺はホントに琴梨さんが大好きだったんです。誰よりも大好きで、誰よりも愛してた」
「……ご馳走さま」
のろけたつもりは無いのだけど、アリスさんはニヤリと笑って手を合わせた。
でも、時間は残酷だ。
琴梨さんが社会人になって、俺は大学受験になった頃にすれ違いが重なって、自然と会わなくなった。
連絡もこまめに取っていたのにいつの間にかそれも途絶えてしまって、自然消滅という形で別れることになってしまった。
「昨日再会したとき、確かに琴梨さんと会えたことは嬉しかったんです。でも、あれだけ大好きだったのに、愛してたのにその感情は不思議と抱かなかった」
最後に会ったときから大分経っていたから琴梨さんは様変わりしていたし、また再会したら好きになると思っていた。
でも、実際は違った。
その理由は分かってる。
分かってるけど、アリスさんには言わない。
いや、言ったらいけない。
彼女には殺した奴を殺したいくらい愛した人がいるから。
「……そんな俺でも泣いても良いんですか?」
アリスさんは俺の問いに答えることはなかった。
その代わりに、俺の頭をポンポンと優しく撫でてくれた。