断罪アリス
あー、もうこの人は……。
目頭が熱くなるのを感じながら、俺はその場に顔を被ってしゃがみこむ。
泣いてるところなんて見せたくない。
てか、もう前に見られてるけど……。
「男だから泣かないとか、好きじゃなくなったから泣かないとかどうでも良いんだよ」
しゃがみこんだ俺の前にアリスさんがしゃがんだ気配がした。
そして、身体を包まれるような感覚がする。
「泣きたいときは泣く。あれこれ考えるのはその後で良いんだから」
頭の上から聞こえるアリスさんの声。
包み込むような優しい温もり、一定のリズムを刻む心音。
それらが俺の心を落ち着け、さらに涙を煽る。
すると、俺の目から涙が溢れてくると同じように曇り空からは雨が降ってきた。
まるで、琴梨さんが泣いているようにも感じられる。
『天河君、大好き』
脳裏に浮かぶのは笑顔の琴梨さん。
俺も大好きだったよ……。
今は涙を流しているかもしれないけど、いつか琴梨さんにも笑顔が戻ってほしい。
そう俺は願っている。