断罪アリス


「何で、莉瑚達が……」




「この三人は一番天河に近いから重点的に探ったんだ。でも、調査の結果、広瀬翔平は完全に白。柳知栄はグレー。朽月莉瑚は──」





動揺する俺をよそに玖下さんが詳しく話していたけど、突然入ったノイズにその先の言葉は遮られた。





『あーあー。ちゃんとマイク入ってるかな?』




ノイズの後に聞こえた声には聞き覚えがある。




「切碕……」




その声の主は赤目の殺人鬼、切碕に間違いない。





「何で、切碕が学内放送を……っ!」




玖下さんは走り出した。




俺と和泉も反射的に玖下さんの後を追いかける。




行き先は階段下のセキュリティ室で玖下さんの部屋に飛び込むなり、モニターの前のキーボードを世話しなく叩いた。




「……アリスが変えたシステムが乗っ取られてる」




「え……っ」




「まずい、このままだとセキュリティが完全に切碕に乗っ取られる。そうなったら──」




玖下さんが言いたいことは分かった。




このまま乗っ取られてしまったら、切碕は何かを仕出かすに違いない。




それが殺戮だったら──。









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