断罪アリス
「ありがとう、和泉。何か元気出た」
礼を言えば、和泉は眼鏡の奥で穏やかに笑った。
「天河ー、早くご飯行こー!あ、和泉君もいるじゃん!」
すると、前を歩いていた莉瑚達は俺達の方を振り向いて、大声で叫んでいた。
お陰で周りにいる学生の視線は俺たち二人に向けられて、恥ずかしい。
「莉瑚、うるさい!今行くから騒ぐな。行こう、和泉」
俺は和泉に声をかけて、莉瑚達の方に向かって歩き出した。
「──もう来たのか。……何故、お前なんだ」
ふと、後ろから震えた和泉の声が聞こえた。
振り返ると、和泉は何事もなかったように俺の後を追いかけてきた。