断罪アリス


「ありがとう、和泉。何か元気出た」



礼を言えば、和泉は眼鏡の奥で穏やかに笑った。



「天河ー、早くご飯行こー!あ、和泉君もいるじゃん!」



すると、前を歩いていた莉瑚達は俺達の方を振り向いて、大声で叫んでいた。




お陰で周りにいる学生の視線は俺たち二人に向けられて、恥ずかしい。




「莉瑚、うるさい!今行くから騒ぐな。行こう、和泉」



俺は和泉に声をかけて、莉瑚達の方に向かって歩き出した。




「──もう来たのか。……何故、お前なんだ」



ふと、後ろから震えた和泉の声が聞こえた。



振り返ると、和泉は何事もなかったように俺の後を追いかけてきた。










< 33 / 595 >

この作品をシェア

pagetop