断罪アリス
『天河、ごめんね……』
電話の向こうの母さんの声は震えていた。
何で謝るんだよ?
何に対しての謝罪なんだよ?
捲し立ててやりたかった。
それなのに、その言葉は出てこない。
『あの人と七砂を宜しくね……』
その震えた声はその言葉を最後に聞こえなくなってしまった。
通話の切れたスマホを耳から離すと、ディスプレイを見つめる。
たった30秒の短い電話だったが、母さんは俺に想いを伝えてきた。
母さんは俺に何を伝えたかったんだ……?