断罪アリス
多分、母さんのことを一番知っているのは父さんだ。
俺は父さんの方へ歩き出す。
「父さん」
「何だ、どうした?」
「母さんのこと、教えてくれない……?」
父さんは驚いたように目を見開いたが、すぐに目が細められた。
「天河、此処に座れ」
俺は父さんに促され、父さんが移動してスペースが空いたソファーに座った。
「俺な、最初潮のことを軽蔑してたんだ」
「は?」
突然のカミングアウトに声が裏返った。
「まあ、25年も前の話だがな──」
父さんは昔を懐かしむように目を細めて、母さんのことを話してくれた。