断罪アリス


「何勝手なことを言ってるんだ、切碕」




ふと、凛とした通る低い声がする。




その声の主は何処から現れたのか、気付いたら玖下さんの隣にいた。




「玖下は俺のモノだ。いくら親子とはいえ、連れて行くことは許さない」




「依良……」




揺らいだ玖下さんの視線の先には俺が通う大学の理事長であり、蓬條家の次期当主であり、彼が仕える主──蓬條依良がいた。




「何故、依良が此処に……」




「アリスにいい加減玖下を返すように言いに行こうとしたらお前達を見つけた」




理事長は玖下さんをチラリと見ると、切碕を見た。




「……律生に『友達ごっこ』をやらせた奴がお前だったのはな」




理事長の目には怒りと憎しみ、そして悲しみが浮かんでいた。





< 383 / 595 >

この作品をシェア

pagetop