断罪アリス
「帰るよ、コトリ君」
俺がアリスさんを見たときにはもう彼女は柳と歩き出していた。
「アリスさん……」
柳に付き添われながら歩く彼女の背中はとても小さかった。
何でなんだよ、風間さん……。
俺は見ているだけで何も出来なかった自分に腹が立った。
『お前は本当に何もできないんだね……』
俺の中の≪僕≫が俺を嘲笑っている。
そうだ、俺は何もできない。
守ってくれている人が傷付いたのに気のきいた言葉ひとつかけられない。
「クソが……」
拳を握りしめながら空を見上げた。
夜と朝の狭間から、東の空から朝日が差し込んできている。
まるで、残酷な未来の幕開けを知らせるように──。