断罪アリス
それでも、私を気遣ってくれる。
彼は本当に優しい子だ。
「少し空いてるかな……」
本当はお腹なんか空いていない。
でも、空いていないなんて言ったら、コトリ君のことだからますます心配そうな顔をするだろう。
「なら、軽く食べられそうな中華粥でも作りますね」
コトリ君はホッとしたように笑うと、事務所に作られたミニキッチンの方に歩き出す。
その背中を見ながら私はソファーに寄りかかって、ため息を吐く。
「……気のきいた言葉一つかけられなくてすみません」
ふと、ミニキッチンへ向かうコトリ君の声が聞こえた。
……まったく、それは私も同じなのに。
年下の優しい言葉に心が少し軽くなった。