断罪アリス
「……あれはね、私が朱鷺に言ったの」
もう十年も前に私が朱鷺に言った言葉。
その頃はまだ朱鷺は朱鷺じゃなかった。
「実はね、朱鷺の名前は私がつけたの」
「え?」
「名前がなかった朱鷺に私が名前をつけた。もう十年も前の話だけどね」
私の言葉に、コトリ君は分からないと言うように頭を傾げた。
その反応が当たり前だ。
名前は生まれたときに親が願いを込めてつけてくれるものだ。
でも、朱鷺は作られた人間。
願いを込めてくれる親なんていなかった。