断罪アリス
「暖かい。……気持ち悪いな」
男が手のひらの臓器を握り潰すと、不快な音と共にただの肉片と化したそれは彼の指の隙間から地面へと落ちる。
地面へと落ちた肉片を特に気に留めることなく、彼は胴体から少し離れた所に落ちている女の頭に近付いた。
「……女に産まれなければ、君は死なずに済んだかもしれないね」
そう言って、男は女の唇に血塗れの指を当てて唇をなぞり、満足したのか口角を持ち上げるとその場から立ち去った。
残された女の身体は何を見ている訳でもなく、ただ一点だけを見つめている。
青白い顔の中で、男が触れた唇だけが口紅を塗ったかのように赤く染まっていた。
己の身体から出された血の赤で……。