断罪アリス


「寧ろ、風間さんはアリスさんに感謝しているんじゃないですか?」




「感謝されるようなことはしてないよ。私は当たり前のことをしただけ」




すると、コトリ君は小さく笑った。




「その当たり前のことが風間さんにとっては当たり前じゃなかったからですよ」




「……っ」




「風間さんは本当に貴女に貰った名前を大切に思っていたはずです。そうじゃなかったら、名前の由来を覚えている訳ないじゃないですか」




朱鷺が言っていた訳じゃないからあれだけど、コトリ君が言うと本当に朱鷺が言っていたのではと錯覚する。




そう思ってしまうくらいコトリ君の言葉は私の心を落ち着かせた。




不思議な感覚だった。




それと同時に懐かしくもなった。




こんな感覚になったのは和真が生きていた頃以来だ。




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