断罪アリス
「──っていうのは建前。実際は僕の≪恩返し≫の手助けをしてもらってるんだよ、彼らには」
「恩返しって……切碕!」
潮は座っていた椅子から弾かれたように立ち上がった。
普通であれば、良い意味である恩返し。
しかし、切碕が言うと恐ろしい意味としか思えない。
「……あの人達には感謝しているよ、僕をこの世に生み出してくれたんだから。ちゃんと恩返ししないとね」
切碕はゆっくりと閉じていた目を開いた。
炎のように赤い目なのに、氷のように冷たい眼差し。
そんな目に潮は息を飲む。
「恩返しって言う名の復讐をね──」
切碕は気付いていた。
潮以外にも己の話を聞いている者がいることを──。