断罪アリス
「あー、楽しい。ねぇ、コトリ君」
すると、笑い過ぎて涙が出てきたのか目元を拭いながらアリスさんが俺の方に来た。
「……やっぱり、貴女は笑っている方が良いですね」
彼女には笑顔が似合う。
沈んでいる顔なんか似合わない。
俺の言葉に彼女は頭を傾げていた。
「アリスさん、貴女は──ぐぇっ」
「そもそもお前が悪いんだよ、天河!」
突然なず姉が俺の頭を脇に抱え、頭をグリグリとしてきた。
「天河が紛らわしいことするからあたしが勘違いしたんだ!」
「いだだだ、指の骨が痛い!てか、理不尽!なず姉が勝手に勘違いしたんじゃん!」
「問答無用!」
俺はなず姉の理不尽な言い分に抗議するが、頭をグリグリする力が強くなった。
アリスさんの、父さんの、羽取さんと一飛さんと一色さんの笑い声がする。
沈むようなことがあったとは思えないほど皆楽しそうに笑っていた。
この笑い声を聞く辛そうに聞く人がいるとは知らずに──。