断罪アリス
江莉子は警官だった夫が15年前に殉職してから女手一つで一人娘を育て上げた。
料理も出来ないほど過保護に育ててしまったが、剣道を習っていて自分の身を守れるくらいの力はあった。
そんな娘は警官として働く母に憧れ、警官になることを志していた。
それなのに、娘は人の命を奪っていた。
その事実は江莉子にとって、あまりにも残酷で非常だった。
ふと、隣の家から楽しそうな笑い声がする。
星司の話によれば、莉瑚は星司の愛息である天河に恋をし、それを邪魔する者を殺していたらしい。
「……天河君は人を惹き付ける。良い意味でも悪い意味でもアンタ達にそっくり」
江莉子はリビングに飾られた写真立てに視線を向ける。
そこにはドレスアップした江莉子と警官の正装姿の星司、ウェディングドレス姿の潮が写った写真が飾られていた。