断罪アリス
「まったく、あいつのせいで遅くなった。今、何時──もう23時半か……」
明日も洗濯やらで早く起きないといけないというのに、すっかり遅くなってしまった。
ため息を吐くと、さっきから視界にちらついている小さな光を見上げるようにして空を見た。
空は梅雨の時期になるというのに、満天の星空が広がっている。
「……っあ」
ふと、路地から吐息が漏れるような掠れた声が聞こえた。
それは一度でなく、何度も聞こえる。
……いくら路地とはいえ、公共の場でヤるのはどうかと思うよ、うん。
俺は聞こえないようにするためにイヤホンを耳に入れようとした。