断罪アリス
でも、もう遅かった。
江莉子さんは莉瑚の胸を打つと、自分の頭に銃口を向けて発砲する。
その二発の銃声はやけに大きく聞こえ、やけに周りに響いた。
江莉子さんは見るからに即死だけど、莉瑚はまだ死んでいなかった。
「天河ぁ……」
目から涙を流し、口元を血で濡らしながら這うようにして俺の方に近づいてきた。
俺はその姿に何の感情も抱かなかった。
ただ、見ているだけだった。
「何で……天河……」
「聞きたいのは俺だよ……。何でなんだよ……、莉瑚……」
俺の問いに莉瑚は目一杯に涙を溜めたまま目を閉じ、その場に突っ伏した。
その場の誰もが目の前で起きた出来事が現実とは思えていなかった。