断罪アリス


「天河、大丈夫か?やっと歩けるようになったなったんだろ」




「和泉」




呆然とする俺の隣に和泉が立った。





和泉から見れば、智さんは親戚筋のおじさんだ。




だから、参列するのは当たり前だ。





「大丈夫だよ。俺よりアリスさん達が……」




俺は和泉から遺族席に視線を移した。




そこには夫を、父を失っても日本の中心と言える名家の者として凛とするアリスさんと母親がいた。




二人とも涙は見せていない。





はたから見れば、薄情とも思えるほど二人は毅然としている。




でも、そうじゃない。




泣きたくても泣けないんだ。




名家、藤邦の名が二人をそうさせているのだろう。




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