断罪アリス



すると、その場がざわついた。





「寿永家と蓬條家のお出ましだ……」




参列者の一人が震える声で言うと、参列者で塞がれていた通路が一気に開けた。






葬儀場の入り口には複数人の男女がいる。





その中には理事長と寿永さんの姿があって、二人と一緒にいるのが現当主達なのだと理解した。




カメラも全部彼らに向けられ、焼香するために祭壇へ歩いていく姿をカメラは追っている。




祭壇付近には日本の各界のトップが集まっていて、葬儀という場には相応しくない程のカメラのフラッシュが光っている。






「何で当たり前のようにカメラ切ってんだよ……。おかしいだろ」





身を乗り出して抗議しに行こうとする俺の肩を和泉が掴んだ。





「天河、落ち着け。……おかしいかもしれないけど、これが日本を統べる三名家にとっては当たり前なんだよ」




こんなのが当たり前?




そんなのおかしいだろ……。




その言葉を発することは出来なかった。




アリスさん達と俺の住む世界は違う。




普通だったら出逢うはずのない人だ。




あり得ないことが当たり前の人達なんだ──。




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