断罪アリス
アリスは俺を憎んでる。
戻ったところで、アリスを苦しませるだけだ。
だったら、俺はアリスを苦しませるものを一つでも無くす。
「朱鷺」
ふと、パンプスの音がした。
顔を上げればそこには潮がいて、俺を見下ろしていた。
「良い様だろ……。アリスとアンタの息子を裏切った罰だな……」
自嘲気味に呟くと、潮は俺の前に膝をついて俺の腹の傷を治療し始める。
「何してんだよ?」
「朱鷺、貴方にはやることがあるんでしょ?なら、此処で死んではダメよ」
……この女、俺がやろうとしてることに気付いてるのか?
動揺を悟られないようにしていたが、彼女は気づいたらしく悲しそうに目を細めた。
「……本当は私がやらないといけないんだけどね。貴方にやらせてしまうのは貴方にもアリスちゃんにも申し訳無いわね」
やっぱり、この女は俺がやろうとしてることに気付いている。