断罪アリス
「おはよう、ございます……」
恐る恐る声をかけるけど、彼は無言だ。
ヤバい、めっちゃ怒ってる……。
一飛さんは不機嫌さMAXでアリスさんとなず姉に近付いていく。
そして──。
「うるさいんだけど、静かにしてくれる?僕の睡眠を妨げるとかどうなるか分かってるんだよね?」
ドスのきいた低い声に、二人はビクッと肩を揺らす。
「アリスもさ、7時間寝れれば十分だよね?僕と才暉はその半分も寝てないんだよ。どっかの誰かさんがアリスの世話を放置したせいで」
凄い、一回も息継ぎせずに言ったよ。
「い、一飛?落ち着いて?」
「大体さ、顔合わせる度に喧嘩とか何?子供?今どき、声にでもそんなことしないのに、良い大人が何してんの」
捲し立てるような一飛さんの言葉に、二人はすっかり小さくなっている。
「……天河、手伝うからさっさと朝飯作っちまおうぜ。あれは止めるととばっちりが来そうだ」
「はい……」
俺と羽取さんは二人の助けを求めるような目を無視して、朝ご飯の用意を続けた。