断罪アリス
俺とアリスさんは車を降りると、二人からヘルメットを受け取った。
バイクに跨がって、ハンドルを握ると後ろからアリスさんの腕が腰に回される。
その仕草に、胸がドキッと高鳴った。
「じゃあ、和泉。その車、依良に返しておいて」
「分かりました」
「天河、バイク壊すなよ!?まだローン残ってんだから!」
涙ながらに訴えてくる翔平に、俺は一応頷いておく。
一応なのはこれからどうなるか分からないから壊さないという保証はない。
場合によっては──うん、映画じゃあるまいし無いな。
「しっかり掴まってて下さいね」
アリスさんがぐっと腰に回す腕に力を込めたのを確認すると俺は和泉達に車を任せて、渋滞する車の隙間をバイクで走り抜けた。
バイクを運転するのは久々だけど、なんとかなるもんだね。
そんなことを考えていると、目の前を一台のバイクが走り抜けた。
ヘルメットをしていないから顔がはっきり見える。
「朱鷺!」
そのバイクに乗っている人物──風間さんの姿に、アリスさんが叫ぶ。
が、その風間さんのバイクの後を数台のバイクが追いかけていく。
──切碕達だ。