断罪アリス
「託されたのは貴女だけじゃない。だから、一人で頑張らないで、少しくらい俺を頼ってください」
風間さんは俺にアリスさんを託した。
なら、彼女を託された俺は──。
すると、アリスさんはタオルケットから顔を出すと涙で潤んだ目でじっと見てくる。
「……頼るから君は私の傍からいなくならないでね」
そう言って、アリスさんは小指を差し出してきた。
俺は彼女の白く細い小指に自分のそれを絡める。
子供の頃振りにした指切りは何処かむず痒かった。
「約束だからね」
アリスさんは小さく笑うと、目を閉じた。
長い睫毛が伏せる目の下にあるクマが物語るように、やっぱり疲れていたらしい。
すぐに静かな寝息が聞こえてきた。
俺は彼女が眠るベッドに寄りかかり、目を閉じる。
そして、中にいる≪僕≫に声をかけた。