断罪アリス
自分がやらなくてはいけないことを人に託す申し訳なさ。
普通の人ならこう取るだろう。
でも、ブラコンのなっちゃんだ。
私だから弟を殺さずに生かす方法を考え付いていると呼んでいるのだろう。
私はなっちゃんの肩を優しく叩くと、彼女を叔父さんに任せて院長室を出た。
院内の廊下を歩いていれば、嫌でもスタッフは立ち止まって私に頭を下げてくる。
経営者の娘であり院長の姪、日本を牛耳る名家の次期当主。
その肩書きは私を普通にはしてくれない。
「……本当に息が詰まる」
コトリ君と合流して、さっさと帰ろう。
私は感じる視線を無視しながら、小鳥遊潮の病室へと向かった。
私を普通の人として見てくれる人は数少ない。
周や依良は当然同じ立場だから私の気持ちを分かってくれる。
朱鷺達も何だかんだ言いながらも私の気持ちを分かっているし、和泉やなっちゃん達もだ。