断罪アリス
あと、彼ら──和真とコトリ君。
この二人は私を誰よりも分かってくれている。
だから、私は彼らが──。
そんなことを考えているうちに小鳥遊潮の病室の前に着いていた。
ドアをノックしようと手を持ち上げたけど、その手がドアをノックすることはなかった。
「母さん……、俺……まだ死になくない……」
中から聞こえたのはコトリ君の絞り出すような苦しそうな声。
その声が私が病室に入ることを躊躇わせた。
──誰だって死にたくない。
でも、死は誰にでも訪れる。
それが人によって早いか遅いかだけだ。
「でも、俺は生きてたらいけないんだ……。俺は皆に……アリスさんに笑っていて欲しいんだ……」
何で私なの?
私は君を殺そうとしているのに、何で君は──。
私は気づいたらその場から離れ、人気のない廊下で立ち止まった。