断罪アリス
「……なっちゃん、怒って乗り込んできそう」
なっちゃんはああ見えて、弟であるこの子を溺愛している。
だから、毛嫌いしている私が保護した上、気絶させて連れ去ったと知れば怒りを露にして私の元に来るのは間違いない。
「まあ、仕方ないな……」
前を歩く朱鷺も私のため息混じりの呟きに、少し疲れたように呟く。
多分、朱鷺もなっちゃんに怒鳴られる。
何せ、なっちゃんの溺愛する弟を荷物のように小脇に抱えている。
これではなっちゃんに怒ってくださいと言っているようなものだ。
私はため息を吐くと、朱鷺と共に路地から出た。