断罪アリス


切碕はアリスさんが好きだった?




だから、和真さんを殺して、見せしめのように罪のない女の人を殺した?




そうすれば、彼女の意識が自分へ向けられる。




愛情よりも重い憎しみという感情が向けられる。




「切碕……、お前は……」




「でもね、僕はもうアリスちゃんの愛情なんかどうでも良いんだ」





切碕はアリスさんが自分を追いかけているのを愛情と取っているらしい。




それは愛情とは程遠いものだというのに。




「今の僕はただ、見ていたいんだ。死を目の前にして絶望する目を、姿を!」




切碕は血にまみれた手ともう片方の手を上へ伸ばし、神への加護を仰ぐように腕を広げた。





狂ってる……。




やっぱり、こいつは生かしてたらいけない。




こいつが生きている限りアリスさんは幸せになれない。




アリスさんが心から笑えない──。





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