断罪アリス


でも、俺は彼女の差し出す手を取れなかった。




いや、取らなかった。




取ってしまえば、もう離せなくなってしまう気がしたから。





アリスさんは手を取らない俺に小さくため息を吐くと、切碕がいた方を睨み付けた。




ロケットランチャーが当たった場所には切碕達がいた。




あの切碕もさすがに無事では無いはずだ。




「あーあ、どうしてくれるのかな?アリスちゃん」




すると、切碕の声がする。




その方向を見れば、右腕を無くして頭から血を流した切碕がいた。





奴の足元には人の形をしていない四つ骸が転がっている。




多分体格から見て男一人に子供が二人、後は華奢な体格の男。





恐らく、黛と三つ子の二人、胡蝶だと思う。





その証拠に切碕の傍にいるのは怪我をしているが生きている安倍明晴と楊蘭、三つ子の一人だけだった。




「僕の大切な仲間が死んじゃったじゃないか」




その言葉とは裏腹に、切碕は笑っている。








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