断罪アリス
仲間を失ったのに何で笑えるのか理解に苦しんだ。
「まあ、良いや。とりあえず、仇討ちはしておこうか」
切碕は残った左手で拳銃を取り出すと、アリスさんに向けた。
「それは私も同じだよ。お前は和真と朱鷺の仇だ。殺してあげるよ、私の手で」
アリスさんも何処から出したのか拳銃を取り出し、切碕に向けた。
頭とも取れる二人に拳銃を向けられ、羽取さん達や安倍明晴達は臨戦態勢を取る。
このままではアリスさんが殺されるかもしれない。
このままではアリスさんが人殺しになってしまうかもしれない。
そんなの、絶対に嫌だ。
俺はアリスさんの方を向くと彼女の持つ拳銃を掴み、引き寄せる。
そして、驚いた彼女に耳打ちをする。
その言葉に彼女が息を飲むのが分かった。
「駄目、コトリ君……っ!君は──」
俺は彼女が止めるのも聞かずに、駆け出した。