断罪アリス
「見てると思うよ」
なっちゃんは穏やかに笑いながら私と同じように空を見上げた。
天河、見てる?
今の世の中は君が願った世の中とは違うと思うけど、私は前を見るよ。
前を見て、どんなに辛いことがあっても笑顔を絶やさず、君に笑われないような生き方をする。
だから、見ててよ。
すると、スマホが鳴った。
ディスプレイには才暉の名前が表示されている。
「もしもし、才暉?……え、それってどういうこと!?」
「どうした?」
私は才暉からの電話に動揺を隠せない。
「切碕の黒いノートが消えたらしい……」
私の言葉に、なっちゃんは目を見開いた。
厳重に保管していた切碕の黒いノートが消えた。
それは次なる悲劇の幕開けを知らせる合図だった──。