断罪アリス


「私の……赤ちゃん達……」




譫言のように呟きながら彼女は生まれたばかりの我が子達を胸に抱いた。





その直後、彼女の心電図が乱れた。





「先生、血圧が……っ!」




看護師二人が彼女から赤ん坊を取り上げると、彼女に延命処置が施される。




が、血圧は下がる一方だ。




「私の……赤ちゃん……。あの人と……私の……」




女性の目は二人の赤ん坊に向けられている。




「切碕……さん……」




女性はそう言ったきり、口を閉ざしてしまった。




心電図は一本線になり、機械的な音を出している。





「切碕……?」




赤ん坊達を取り上げた彼らはその名前がどれだけ恐ろしいものなのか知らない。





そして、その赤ん坊達が生まれたことで世界が狂うことを誰も予知していなかった。









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