断罪アリス
何だ、今のなず姉の背中……。
部屋を出ていく時のなず姉の背中は今まで見たことがないくらい悲しそうだった。
何が悲しいんだろうか?
俺を自分で守れないだけで凹むような姉ではない。
寧ろ、守らせると相手が言うまでごねて、自分の意見を曲げないタイプだ。
それなのに、今回は多少ごねたもののあっさりと身を引き、俺の知らない他人に守らせる。
一体、この二人は本当は何者なのだろう?
俺は無意識に藤邦さんと男の人を見ていた。
「……なっちゃんは優しすぎるんだよ」
「情が捨てきれないんでしょ。まあ、情なんて作られた俺には理解できないけど」
二人の会話に耳をすませるが、やはり意味が分からない。