断罪アリス
「あの……」
自分だけ理解していないのが嫌で、俺は思い切って二人に声をかけた。
二人は揃って俺に視線を移すと、にっこりと笑った。
「不安そうな顔しなくても大丈夫。君のことは私と彼が守るから」
不安なんかじゃない。
ただ、俺はなず姉や彼女が隠そうとしている真実が知りたいだけだ。
気になるなら声に出して尋ねれば良いだけなのに、何故か言葉が出てこない。
まるで、本能が聞いてはいけない!と警鐘を鳴らしているようだった。
それに……。
それを知ってしまったとき、俺は俺で無くなってしまう──。
直感的にそう感じていた。