断罪アリス
「……寿永警視総監が君に現場を見せ、協力を仰ぐように言ってきた。君は一体何者なんだ?」
警察のトップである人物が年若い女を信頼し、事件解決をするために協力を仰いでいる。
それに加えて、起こるかもしれない大量殺人の予期。
普通の人ではあり得ないことだ。
「それに、君は犯人のことを知っているのか?」
小鳥遊の問いに女はゆっくりと立ち上がり、フードに手をかけた。
「……よく知ってるよ」
何処か怒りが込められた声と共に露になった女の顔に、その場にいた誰もがその整いすぎた容姿に息を飲んだ。
藤邦アリス──。
それが彼女の、事件の解決へ導く探偵の名前だった。