断罪アリス
「……そういえば、彼を見たとき誰かに似てると思ったら貴女だったんだ」
「彼?」
「うん。人殺したときに不運にもその場に現れた男の子のことだよ」
「……その子、殺したの?」
「殺してないよ。途中でアリスちゃんの邪魔が入ったからね」
紅い瞳の男は廃墟には似合わないベルベットソファーに腰掛けると、背凭れに寄りかかった。
美しい女もソファーに近付くと、背凭れに寄り掛かるようにして座った。
「切碕、その子は殺しちゃ駄目よ」
「何で?」
女の言葉に、彼はぐりんと目を剥いて彼女を睨み付けた。
その紅い瞳は炎のように紅いのに、氷のように冷たい。