Spice‼︎
梨花は茉美に何を言われるのか緊張して
胃がじりじりと痛む。

しかし茉美は予想外に梨花の復帰を喜んでくれた。

「良かった。
辞めちゃったらどうしようかと思ってた。

私のせいでこんなことになっちゃってごめんなさい。」

「茉美ちゃん…こっちこそごめんね。」

茉美は首を横に振り、笑顔で梨花の手を握った。

「ホントにどうしようかって思ってました。

結局、風間さんは私でも梨花さんでも無かったんですね。

金持ちのお嬢様と婚約なんて…酷いですよね!
それだったら付き合うとか言うなっつーの!」

「茉美ちゃん、本当はザマアミロって思ったでしょ?」

茉美は舌を出して

「ちょっとですけどね。」

と笑ってみせた。

茉美と仲直り出来た事で梨花の気持ちはすこし軽くなった。

そしてその夜、桐原から連絡があった。

この前のホテルに来られるか?

「この前のホテルってあのビジネスホテル?」

「あぁ。」

「わかりました。」

梨花は下着を着替えて地下鉄に乗って
電車を乗り継いであのホテルまで来た。

ホテルの前で桐原に電話してみる。

「着いたか?506号室だ。」

エレベーターを上がって506号室のドアをノックした。

「入って。」

桐原が梨花の腕を掴み部屋の中に入れる。

梨花が部屋の中に入ると窓際にもう一人男が立っていた。

「え?誰?」

「梨花さん。」

なんと部屋には風間も居て、
梨花は状況がうまく飲み込めずにいた。
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