Spice‼︎
外から風間がベルを鳴らし、ドアを叩いている。

「梨花さん!大丈夫ですか?」

桐原は梨花にコートを着せると

「外で話そう。」

と言った。

「話すことなんて無い。」

「いいから。付いて来い。」

桐原が梨花の手を掴みドアを開けた。

「少し梨花と話をしてくる。

お前は遠慮してくれ。」

風間にそう言ったが梨花は明らかに桐原を拒んでいた。

風間は咄嗟に梨花のもう片方の腕を掴んだ。

「待ってください。梨花さんが嫌がってる。」

「梨花…言うこと聞いてくれ。
怒らせる気か?」

「梨花さん、部長と話したくないんですか?」

「もう、2人で逢いたくないの。」

桐原にも風間にもその意味はわかる。

梨花はまだ桐原を忘れられないでいるからだ。

今、抱かれたら気持ちは揺らいで元に戻ってしまうだろうとわかってるからだ。

「じゃあ僕がそばに居てあげます。」

「お前は黙ってろ!

梨花、少しでいい。話をさせてくれ。」

梨花は仕方なく風間に言った。

「30分経ったら戻って来て。

30分だけ話聞きます。」

桐原はその30分で梨花の気持ちを自分に戻せる自信がある。

風間が仕方なく外へ出ると
桐原は梨花の頰を撫でて言った。

「お前が居ないと死にそうなんだ。

別れたくない。」

梨花は桐原にそんなことを言われるとまた気持ちは大きく揺らいだ。


< 134 / 265 >

この作品をシェア

pagetop