Spice‼︎
「お前が望むなら全て捨てる。
だけど社長の座を掴むまで待っててくれないか?」
桐原の野心を梨花はずっと応援して来た。
でも全てを手に入れたら社長の一家と手を切るなんて
そんなに冷酷なことを言う桐原が少し怖くもある。
「桐原部長には付いていかない。」
「どうして?お前のために全部捨てるって言ってるんだ。」
「全部捨てるなら今でしょ?
社長の座は捨てないって意味でしょ?」
「お前はそれを捨てて欲しいのか?」
「そうじゃないけど…」
そんな桐原にいつか自分も簡単に捨てられる気がして怖くなった。
「桐原部長とは…そんな訳にいかない。」
「風間か?今のあいつに何がある?
社長の座も失って無職でもう金持ちでもない。」
「風間くんは…私を捨てたりしないから。」
「アイツも一時期はお前を捨てて婚約までした男だ。
俺とは違う。オレは絶対にお前を捨てたりしない。」
「桐原部長は…何か目標があったら
そのために利用できる物は全て利用する男でしょ?」
桐原は自分が社長になるために風間に梨花を近付けた
事を思い出した。
「梨花…お前…まさか…」
「風間くんに私を近付けたのって桐原部長ですよね?」
桐原は梨花がどうして突然別れると言ったのか
やっとわかった気がした。